口座の凍結
相続が発生したことを金融機関が認知するとその方名義の預貯金口座は凍結されてしまいます。
口座が凍結されると、キャッシュカードで引き出すことはもちろん、相続人の一部の方だけでは法定相続分に基づいた金額を払い戻すことも原則できなくなります。
※以前は、相続人単独で法定相続分を払い戻すことが可能でしたが、判例変更によりできなくなりました。
預貯金の相続手続
▮ 遺言書がない場合
<調査>
遺言書がない場合、手続の前提として、まず口座がどの金融機関にあるのか調査を行います。
まずは、亡くなられた遺品から、通帳やカードを探し、またネット銀行の場合はメールやスマホアプリの有無等によって取引先の金融機関を特定します。金融機関が判明しましたら、その金融機関で相続開始日の残高証明を取得します。
この際、主に下記書類等が必要となります。
- 亡くなられた方の死亡の記載のある戸籍謄本
- 亡くなられた方の通帳、キャッシュカード等
- 手続を行う方が相続人であることがわかる戸籍謄本等、実印、印鑑証明書、身分証明書等
- 手数料
<遺産分割>
各金融機関から残高証明を取寄せて、だれがどの預貯金を相続するかを協議し、協議書を作成します。
協議書へは相続人全員ご実印にて押印します。
<預貯金の相続手続>
遺産分割がお済みになりましたら金融機関へ必要書類を提出し、手続を行います。
手続には主に下記書類が必要となります。また金融機関によって必要書類が異なることがあります。
- 金融機関所定の書類
- 亡くなられた方の通帳、キャッシュカード等
- 亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書等
▮ 遺言書がある場合
遺言書がある場合は、その内容に従います。ただし、自筆証書遺言で遺言保管制度を利用していない場合は、検認手続が必要です。
主な必要書類は下記のとおりです。
- 金融機関所定の書類
- 亡くなられた方の通帳・キャッシュカード等
- 亡くなられた方の死亡の記載のある戸籍
- 遺言により預金を相続する方 または 遺言執行者の印鑑証明書
- 遺言書
凍結中でも払い戻しができる場合
2019年7月の民法改正により、相続開始後、遺産分割前の段階であっても、各相続人が当面の生活費や葬儀費用の支払いなどのためにお金が必要になった場合に、相続預金の払戻しが受けられる制度が設けられました。
この制度は、家庭裁判所の判断の有無によって2つに分けられます。
なお、この制度を利用して払い戻した預貯金をご自身の生活費に充てるなどしてしまうと相続放棄ができなくなりますので、相続放棄をお考えの場合はご注意下さい。
▮ 家庭裁判所の判断を経ずに払い戻す場合
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、
相続開始時の預貯金債権の額 × 3分の1 × 当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分
までは、家庭裁判所の判断および他の共同相続人の同意がなくても単独で払戻しをすることができます。
ただし、一つの金融機関についての上限額150万円までとなります。これは一人あたりの標準生計費が付き12万円弱であり、1年間に換算すると150万円ほどになること、平均的な葬儀費用が150万円前後であることから法務省令により定められた金額です。
<必要書類>
この際、主な必要書類としては、下記のとおりです。
- 亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本等
- 預貯金を払い戻す方の印鑑証明書
- 各金融機関所定の書面
- 払い戻し予定の通帳等
▮ 家庭裁判所の保全処分による場合
家庭裁判所は、家事事件手続法第200条第3項に基づく保全処分により、
遺産分割の審判又は調停の申立てがあった場合に、下記いずれかに該当し、遺産に属する預貯金債権を、当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部を仮に取得させることができます。
- 相続財産に属する債務の弁済
- 相続人の生活費の支弁
- その他の事情
※ いずれも他の共同相続人の利益を害さない場合に限ります。
<必要書類>
- 家庭裁判所の審判書謄本・確定証明書
- 預貯金を払い戻す方の印鑑証明書
- 各金融機関所定の書面
- 払い戻し予定の通帳等
お問い合わせ
相続後の預貯金の名義変更についてのご相談につきましては、下記よりお願い致します。
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