みなし解散
株式会社の解散事由には、会社法第471条各号に定める通常の解散事由のほかに「休眠会社のみなし解散」という解散事由があります。
休眠会社とは、「株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したもの」とされております。(会社法第472条)
これは、株式会社においては役員の任期を最長10年とすることができ、少なくとも10年に1度以上は登記がなされるはずであるにも関わらず、12年間一度も登記がなされない株式会社は、実際上休眠会社であるとみなす、というものです。
ただし、最後の登記から12年経過により直ちに解散させられるわけではなく、
- 対象の会社に対して、管轄の法務局から通知が送られると共に、法務大臣による公告がなされ、
- その公告から2か月以内に登記申請や事業を廃止していない旨の届出をしない場合には、解散登記がなされます。
なお、特例有限会社や持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)には、役員の任期が法定されておらず、この制度の適用はありませんが、社団法人・財団法人(一般・公益とも)においては同様の制度があり、最終の登記から5年を経過している場合には、みなし解散による解散登記がなされる恐れがありますので注意が必要です。
デメリット
みなし解散により、解散登記をなされてしまった場合、当該会社は清算株式会社となります。そのため、代表取締役を含め取締役は全員退任登記がなされ、会社としても清算目的の範囲内のことしかできなくなり、実際に事業を行っている会社が、みなし解散をされてしまうと営業活動が出来なくなってしまいます。
また、みなし解散の対象になるということは、本来行うべき登記が滞っている状態ですので、100万円以下の過料の対象となります。(会社法第976条第1項)
会社継続
会社継続とは、下記解散事由により解散した株式会社を元に戻す手続です。(会社法第473条)
- 定款で定めた存続期間の満了
- 定款で定めた解散事由の発生
- 株主総会決議
- みなし解散
ただし、みなし解散により解散した会社の継続は、解散後3年以内に行わなければなりません。
みなし解散からの会社継続
みなし解散により解散登記がなされた場合、解散した旨の登記や取締役の退任登記、取締役会設置会社の場合は取締役会設置会社の定めの廃止登記は自動でなされますが、清算人の選任等の登記はされません。原則、みなし解散後の最初の清算人には従前の取締役、代表清算人には従前の代表取締役が就任します。
そして、会社を継続する際には、株主総会等を開催し、下記事項を決める必要があります。
- 会社を継続する旨
- 継続後の会社の役員の選任
- 場合により、定款変更による取締役会設置会社の定めの設定や監査役設置会社の定めの廃止等
上記を決定し、下記等の登記申請を行います。
- 清算人、代表清算人就任登記
- 会社継続登記
- 継続後の取締役、代表取締役等役員就任登記
みなし解散からの会社継続登記の必要書類
みなし解散後、会社継続登記を申請するにあたっての必要書類は下記のとおりです。
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 定款(場合により)
- 取締役会議事録・取締役の互選書等
- 就任承諾書
- 継続後の各役員個人の印鑑証明書(本人確認証明書・代表取締役選定用)
- 登記委任状
- 印鑑届書(代表清算人用・代表取締役用)
- 印鑑カード交付申請書
みなし解散からの会社継続登記の費用
費用の目安 10万円程
報酬(消費税込) | 49,500円 |
登録免許税 | |
清算人・代表清算人選任 | 9,000円 |
会社継続 | 30,000円 |
役員就任(資本金1億円以下) | 10,000円 |
登記事項証明書(1通) | 480円 |
その他実費(郵送料等) | 1,000~2,000円 |
※このほか、取締役会や監査役等機関設計に影響がある場合には別途費用が加算されます。
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