休眠会社等の整理作業
今年はコロナの影響もありましたが、3月決算のお取引先様は概ね5~6月にかけて定時の株主総会が行われ、役員の方々の改選があったお取引先様におきましては、役員変更登記を行わせて頂きました。
ただし、本年はやはり、例年とは異なり、書面決議により株主総会が行われた割合が多かったように感じます。
さて、この役員変更登記について、株式会社様においては任期が最長10年と長く、また役員構成に変更がない会社が多いこと、一般社団・財団法人様においては設立時に専門家が関与していない場合もあり、任期についての認識が薄い等、忘れられてしまっているケースが散見されます。
しかしながら、役員の任期に応じて役員変更登記を行わなければ、実際には事業を行っているにも関わらず、解散したものとみなされる恐れがありますのでご注意ください。
休眠会社等の整理作業
法務局では例年、休眠会社等の整理作業を行っております。
具体的には、
- 12年以上登記を行っていない株式会社
- 5年以上登記を行っていない一般社団・財団法人
を対象にして、
- 官報公告
- 対会社等への通知
- 上記2の通知に対して期限までに「まだ事業を廃止していない旨の回答」または「登記」を行わなかった会社等に解散登記を行う
という作業です。
そして解散登記がなされた場合、3年以内であれば通常の状態に戻すための会社継続登記を行うことが可能ですが、3年を経過してしまった場合は復活できなくなります。
休眠会社等の整理作業と登記
また、期限内に「まだ事業を廃止していない旨の回答」をしたとしても、そのままでは根本的な解決にはなりません。
株式会社や一般社団・財団法人は、登記すべき事項に変更があった場合には変更登記等を行う義務があります。
株式会社や一般社団・財団法人の役員には任期があり、株式会社の必置機関である取締役は10年以内、一般社団・財団法人の必置機関である理事は2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時まで、とその任期が定められております。
そして、役員の任期が満了した場合、たとえ役員構成に変更がなくても、重任登記を行う必要があります。
そのため、株式会社であれば12年間、一般社団・財団法人であれば5年間一度も登記が行われていないはずはない、という事になり、この期間中、一度も登記が行っていない株式会社や一般社団・財団法人は事業を行っていない可能性があるものとして整理作業の対象となります。
例えば、昨年、この通知が届き、会社は継続している旨の回答をしたとしても、そもそもの原因が登記を行っていないことにあるため、また今年、この通知の対象となり得ます。そして、昨年回答しているからと、今年の通知に対して何ら回答せず放置してしまうと法務局に解散登記をされてしまいます。
そのため、会社・法人の事業を継続しているにも関わらず、この通知が届いた場合は、速やかに登記を行う必要があります。
休眠会社等の整理作業と過料
この整理作業に付随し、当該休眠会社等の代表者様個人宛に裁判所から過料の通知が届くことがあります。
上記記載のとおり、株式会社や一般社団・財団法人には登記義務が課せられており、この義務に違反した場合、代表者様個人に過料の制裁が科せられます。
登記を行っていないことの過料は、登記を行わなかった期間に比例して高額になる上、代表者様個人に科せられるため会社・法人の経費として処理することはできません。
役員変更登記を行わないことは、会社・法人は解散させられた上、代表者様は個人的にも過料を科せられるというリスクしかありません。
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