完全子会社間の吸収合併③(合併契約)

合併契約

合併契約の締結は、取締役会設置会社の場合、会社法362条4項の重要な業務執行にあたり、取締役会の決議に基づき、代表取締役が締結します。その上で、効力発生日の前日までに、原則、株主総会の特別決議によって承認を得なければなりません。なお、この合併契約に関する取締役会の際に、合併契約承認の株主総会開催に関する決議も行うことで、取締役会を複数回開催する必要がなく、手続をスムーズに行うことが可能となります。

合併契約の内容について、当事会社が株式会社の無対価合併の場合、登記手続上は、最低限、合併する旨ならびに存続会社および消滅会社の「商号」「住所」および「効力発生日」を定めた合併契約書で構いません。なお、有対価の場合は、対価の内容に応じて、その数または算定方法、種類、割当に関する事項なども定める必要があります。(会社法第749条)

合併登記の手続上、合併契約の締結にあたり作成される合併契約書は添付書類となります。登記上は必ずしも押印が必要とされる書類ではございませんが、一般的には当事会社それぞれ代表印にて押印する事が一般的であるかと存じます。

また、合併契約書に貼付する印紙は一通につき4万円です(印紙税法第7条別表第一5号)。そのため、完全親子会社間や完全子会社間の合併の場合、原本を一通作成して存続会社が保有し、消滅会社はその写しを保有するとして印紙代を節約していただく事が多いです。

利益相反

株式会社甲(代表取締役A、取締役BC、取締役会設置会社)と株式会社乙(代表取締役B、取締役DE、取締役会設置会社)間で、Bが乙社を代表して甲社と取引を行う場合、甲社にとって利益相反となるため甲社の取締役会の承認を受けなければなりません。(会社法第356条第1項第2号、同第365条第1項)

当該取締役会議事録は、登記手続上必要な書類には該当しないものの、会社法務上は必要な手続となりますので注意が必要です。

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