※以下、「一般先取特権を有する債権者」の方については省略致します。
財産開示手続とは
財産開示手続とは、「執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者」等が裁判所への申立てにより債務者の財産に関する情報を取得するための手続で、債務者をその住所地等の管轄裁判所へ出頭させ、自身の財産について陳述させて行います。債権者としてはその陳述に基づき、知りえた情報をもとに強制執行を行うことができます。
財産開示手続の流れ
執行力のある債務名義
執行力のある債務名義の例としては下記のようなものがあり、原則として執行文が付与されている必要があります。
例)判決、少額訴訟判決、家事審判、和解調書、調停調書等
令和2年4月1日以降は、上記に加え、 仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促、執行認諾文言付公正証書なども含まれることになります。
要件
財産開示手続の申立の要件は、下記のとおりです。
○申立人が、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者であること
○執行開始要件を備えていること
・債務名義の正本又は謄本の債務者への送達が必要で、送達証明書が必要となります。
・債務者が破産開始決定等を受けている場合には執行開始要件を満たしません。
○強制執行等における配当等の手続(申立ての日より6箇月以上前に終了したものを除く。)により、申立人が金銭債権の完全な弁済を得ることができなかったこと、または、知れている財産に対する強制執行等を実施しても,申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があること(民事執行法197条1項)
○債務者が申立ての日前3年以内に財産開示期日においてその財産を開示した者でないこと(民事執行法197条3項)
実効性
法改正前においては、財産開示の申立に対して債務者が出頭拒否や宣誓拒否、虚偽申告や開示拒否を行った場合、30万円以下の過料を科せられます。これは行政罰であり、また、過料を支払うよりも強制執行をされる方がデメリットが大きい場合、あえて過料を選択してしまうこともありえます。
そのため、これまでは必ずしも実効性は高くありませんでしたが、令和2年4月1日の改正法施行以降については、行政罰から刑事罰となり、また、罰則も6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となり、債務者に対する心理的プレッシャーも重くなりますので、実効性が高まることが期待されます。
第三者からの情報取得手続との関係
令和2年4月1日以降、第三者からの情報取得手続を利用することができるようになりますが、情報の内容により、手続の前提として財産開示手続を行う必要がある場合があります。
勤務先情報及び不動産情報
財産開示期日が開かれた後でなければ情報取得手続ができません。
預貯金情報
財産開示期日を経なくとも情報取得手続が可能です。
申立人の出頭要否
申立人(債権者)は、財産開示期日に出頭しなくても構いません。(民事執行法199条第5項)
ただし、期日に出頭した場合には、裁判所の許可を得て、開示義務者に対して質問をすることができます。
出頭しなかった場合でも、申立人は財産開示手続の記録を閲覧することが可能ですので、その情報に基づいて、当該債務者に対する債権をその本旨に従って行使する目的で利用することが可能です。
費用
・書類作成報酬 38,500円(税込)
・印紙代 2,000円
・予納郵券 6,000円ほど
・その他実費
お問い合わせ
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